蝶のまばたき

もう死にたい、消えたい・・・無職アラフィフ独身女の雑記帳

戦後最大の脚本家・橋本忍

昨夜、めずらしく遅い時間に

都心で映画を見てきました。

 

映画館は池袋の新文芸坐という

名画座です。

「戦後最大の脚本家・橋本忍②」

という特集をやっており(2/1~2/14)

そのうちの2本を鑑賞しました。

 

今まさに騒がれている「脚本家」ですが、

私は映画に詳しくないので、もちろん

橋下忍さんのことは全く知りませんでした。

 

さかのぼること約2週間前の2月1日。

ずっと見てみたかった『羅生門』を

新文芸坐で上映するとネットでたまたま見つけ

たのです。それで初めてこの映画館に訪れました。

すると上映後に映画史研究家のトークショー

あるというのです。

なんてラッキーなんでしょう✨

 

羅生門』上映が終わるとすぐトークショー

始まりました。

語り手は春日太一さんという方。

橋下忍さんの評伝本『鬼の筆』を出版されたそうで、

購入者へのサイン会もあるとのこと。

 

春日さんのお話は、さすがこうした業界の方

というのか、お話が上手なので、

まったく無知な私でも、大変楽しめました^^。

シート席からは野太いが、しかし控え目な

笑い声が時折もれきこえて、それもまた趣が。

(しぶい男性客が多いのです。)

 

私も「ははっ」となってましたから、

「遠慮せずにもっと思いっきり笑ってよ~」

とも思いましたが💦

そこはやはり皆さん、名画座にふさわしい

昔ながらの日本人ですな。

 

それにしてもこの橋下忍さんという方は

すごいですよ~。

兵役→病気療養生活時に脚本家を志し、

伊丹万作伊丹十三の父)に弟子入り。

会社員をしながら脚本の修行、なんと

第一作目で黒澤明と組み『羅生門』を制作。

これだけでもすごいのに、さらにはこの映画が

ヴェネツィア国際映画祭で賞まで取ってしまうという😲!

 

この方に聞いてみたいですよね。

今話題になっている脚本家周辺の問題について

どう思われるか。

2018年に亡くなっているようなので、

わりと最近までご存命だったのですね。

享年100歳。どこまでもすごい方です。

 

と、2月1日の話はここまでです。

 

 

昨夜見た映画は以下の二つです。

簡単にストーリーや感想を記したいと思います。

 

『黒い画集 あるサラリーマンの証言』

 

ある会社の、

入社から20年実直に勤務している

40代課長(男性)が主人公。

一軒家をかまえ当然妻と子供がいます。

 

部下の若い女性と不倫関係にあり、

ある夜、その女性宅からの帰り道

近所の男性とすれ違ってしまうんですね。

これが後に大変な事態へ。

 

その近所の男性がある殺人事件の容疑者に

なってしまうんですよ。

犯行時刻と場所からすると、

主人公とすれ違ったことが無実を示す

唯一の大きな証拠になるというわけ。

 

ところが主人公からすると、近所の男性と

すれ違ったことはどうしても隠しておきたい。

不倫がばれてしまうからです

ばれたら人生の全てがパーでんねん、という状況。

なので法廷でもウソをつき通すのですが・・・

そういったお話です。

 

これ1960年の作品なんです。

何が驚いたかって、42歳の役なのに

全然そうは思えない。50代ぐらいに見えます。

でも肌はきれい。(俳優は小林桂樹さんです)

まぁ今の我々の年齢って、当時からすると

3分の2がけぐらいの感じですよね。

 

それよりも何よりも、この主人公のボーナス額です。

冒頭で人物紹介みたいな語りが入るのですが、

「月給は5万〇千円、ボーナスは40万円」

のところ!!

月給は時代だから仕方ないとはいえ、

ボーナス額に驚いたΣ(・□・;)

 

私が前職でもらっていたボーナス額より多い(>_<)

自分の賞与額の少なさに今更ながら唖然とした💧

そりゃあ、私は介護業界の末端の社員だし

家族も養っていません。しっかりした企業の課長と

比べてはいけないかもしれない。

社会的地位も勤続年数も違う。

とはいえ、この映画の60年後なのに・・・😢

 

あとタイトルが「黒い画集」なので

黒いスケッチブックか何かが物的な証拠となって

後々出てくるのかと思いましたが。

最後まで関係ありませんでした(^^;

原作が松本清張の短編らしいので

「そうか、そいうシリーズの名前なんだぁ~💡」

と後でひとり納得しました。←マヌケ

 

 

 

『7つの弾丸』

 

北海道で生まれ、両親を早くになくし、

仕事を求め東京に出てきた青年。

お金もコネも学歴もない彼のような人間にとって

東京すら不毛で荒涼とした砂漠にすぎない。

唯一のオアシスは、アパートの関係(だったかな?)
で知り合った女医である彼女だけ。

 

しかし職も続かず、お金も尽きてしまった。

どうしてもお金がほしい。

そんな彼は交番から盗んだ拳銃で劇場や銀行を

襲撃し強盗。お金を得ることに成功するのです。

 

そして、今度の狙いは明和銀行新橋支店。

彼女には新しい立派な病院を建てることを

約束している。

もちろん女性は青年の内情を知るはずもなく…。

といったストーリーです。

 

この映画の特異なところは、

被害者となる複数の人物について、主人公よりも

背景を細かく描写している点です。

人間模様についてですね。

主人公は孤独な人物なので

生活それ自体はシンプルなんですよね。

 

なので、私は非常に身につまされました。

もちろん主人公の方にです。

何の罪もなく無残に殺される被害者に

強く同情するべきなのでしょうが。

彼らには自分を心配したり、死を悲しんでくれる

家族や同僚がしっかりいるんですよね。

 

この主人公の青年役が三国連太郎さん。

いつもながら、ありきたりな表現ですが

ものすごい存在感です。

ヨーロッパの俳優かと思われるような

顔立ちもそうですが、接吻のシーンも。

三国さんがスクリーンで見られただけでも

ありがたや~という感じでしたね。

 

私は通常キスシーンとか「濡れ場」というのが

好きではないんです。

とってつけたような場合が多いからです。

他人のそんなものを見せられるのならば

それ相応の必然性がないと。見せられ損です。

 

 

この『7つの弾丸』も、1959年なので

60年以上前の作品です。

どちらもだいぶ古い映画で、社会様式は

だいぶ変化しました。

でも、人間の本質ってやはり変わらないものですね。

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。