昨日の記事では、
初めて中国に訪れたときの出来事を
一部紹介しました。
中国語の発音が難しすぎて、
口頭での会話が成り立たず、筆談にしたこと。
そして筆談時のエピソードでした。
旅行中のこうした珍事というか小話は
山ほどありましたが、残念ながらほとんど
もう忘れてしまいました。
今は何でもメモするという癖がありますが、
当時はそういう習慣が全くなかった。
それが本当に悔やまれます(>_<)
それでも記憶に残っている断片はあります。
思い出したら、そのつど、なるべく
書き留めておきたいと思います。
筆談で思い出したことがまた一つ。
日本から中国の上海に到着して
数日後のことでした。
旧満州地方に行ってみたいと思い、まず
上海から大連行きの船に乗ることにしました。
貧乏旅行なので、客室は一番等級の低い5等を
選びました。
船に乗り込んだものの勝手がわからず、
とりあえず、自分の客室がどこか
どなたかに聞くことにしました。
近くの男性をつかまえて尋ねると、
なんと「〇〇工作員〇〇」と書かれた紙を
私に渡してきました。
エッ!? まさか、自分がどこかの
(テロ)工作員だと思われている??(>_<)
すぐにその人から脱兎のごとく逃げました。
とにかく巻いておかないと。
とんでもない所に来てしまったと思いました。
実は「工作員」とは職員のことで、
「船のスタッフに聞きなさい」という意味の
返答だと後でわかったのですが💦
(親切な人だったのになんてこと…<(_ _)>)
ともかく5等客室です。これがすごかった。
船底に一番近い客室。窓もない薄暗い大部屋に、
たくさんの鉄製2段ベッドが、所狭しと置かれています。
多くの乗客でごった返していました。
切符の番号を見ても、自分の席がどこか
などすぐに探し出せそうにありません。
手当たり次第、ベッドからベッドへ
座っている人に聞いて回りました。
ヒマワリの種とか軽食をつまんでいたり、
お茶を飲んでいたり、皆さんにぎやかです。
やはりギョッとしたのは、ほおばる口から
見える「鶏の足」。大量に入った袋から
取り出し、食べているのを初めて見ました👀
このとき、大変失礼にも
「私は無事に日本に帰れるんだろうか」
とちょっと思ったのを覚えています💧
やっとのことで自分の席が見つかると、
あるご夫婦と相部屋ならぬ「相ベッド」
のようでした。
お二人にあいさつすると、すぐだったと思います。
魔法瓶から、温かいお茶を出してくれました。
これを飲んだ瞬間を今も忘れられません。
こんな美味しいお茶があるのかと。
初めての味でした。
「茉莉花茶」というのだそうです。
この数日前の晩、大阪を出発した船の中では、
そこでは歌手の杏里さんが
『オリビアを聴きながら』を歌っていて…
あの歌は昔から大好きなんです。
特にこの部分の歌詞。
「 ジャスミンティーは 眠り誘う薬
私らしく一日を 終えたいこんな夜 」
飲んだこともないのに、昔から鼻歌で
真っ先に出てくるのはこの部分でした。
まさか図らずも異国の地で
出逢えるとは・・・。
ここから2か月間の旅行中、ほぼ毎日
ジャスミンティーを飲まない日はなく
大好きな飲み物となりました。
日本も今では、ペットボトルでも普通に
売られるようになりましたね。
四半世紀経った今でも、
あの時のジャスミンティーほど美味しい
飲み物には出会っていません。
全てのドリンク歴を通しても。
5等船室で飲んだあの茉莉花茶。
優しいご夫婦と飲んだ温かい一杯です。
お読みいただき、ありがとうございました。
2022年9月12日